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資産形成

ヤフー記事「知識不足解消にFPに聞いたNISAの点検方法は」を読んで思うところ

Yahoo!に以下の記事があったものでいくつか思うところを書き出してみます。

「新NISA開始から一年、初心者の半数に悩みや不安「暴落が不安」「今の銘柄でよいのか」 知識不足解消にFPに聞いたNISAの点検方法は」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a2e71c879750ec297ea0c020ee2fa6a2b0fac113

こういうのは唯一の正解があるわけではなく、読んだ人がそれぞれ自分で考えて、自分にとってはどの考え方を参考にしたらいいか考えたらよいと思うのだけどね。
(そういう自分にとっての取捨選択ができるようになることが、下記の「上級初心者」ということだと思います)

なお、この記事は初心者向けに書かれており、私自身も初心者が中級者、上級者にレベルアップする必要はない※と考えていますので、初心者を想定した記述になります。
※私個人としては、「上級初心者」で十分と考えています。

『この一年でNISAを始めたと回答した人の67%が、保有している投資信託について基準価額の値動きや利益の確認を「毎日~週に1回はしている」または「月に数回している」と回答』

こまめにチェックして状況を把握することが正解とは思いません。
私は職業柄、日々の経済情勢はチェックしますし、マークしている銘柄の値動きも毎日ではありませんがチェックします。
しかし、そうでなければ、月に1度か、2,3か月、あるいは半年に1回程度で十分かと思います。
大切なのは「長期投資」です。
そのスタンスで考えるなら、値動きのチェックは最低限でかまいません。まったくしなくてもいいくらいです。
日々の値動きをチェックするとどうしても「上がり・下がり」が気になってしまいます。
大きな上昇や下落があるとこのままでよいのか不安にもなるでしょう。
日々の値動きで、その銘柄のままでよいのか、変更したほうがよいのかは判断できません。
日々の値動きを追いかけることは、悪い影響の方が大きく、よい影響は少ないのです。

NISA、できれば毎月点検を 最低限見ておきたい項目は
まず点検項目として挙げられるのは、①利益額または損失額を表す、点検日時点の評価額と取得価額との差額だ。自分の持っている投資信託が合計いくらになっているのか、購入時に支払った額や前回の点検時の額と比較してみよう。

このような記述もありましたが、上記の理由で「点検なんてしなくていい!」というのが私の考えです。
順調に上がっていたとしても、いつ下がるかわかりませんし、タイミングによっては当初の取得価額を割り込んでしまうことだっていくらでもあります。
でも、長期の観点でいえば上がるだろうというスタンスでやるわけですから、こまめな点検なんて意味がないのです。
点検したければしていいんですが、上記の悪い影響を受けてしまわないようにしましょう。

記事の中でも「ほったらかし」でよいと書いているのに、どうして点検させようとするのでしょうね?(^^;)

なお、長期的な観点で行って問題がないかどうかの点検は半年に1回くらいのペースでした方がよいのですが、そのためには値動きのチェックだけではなく、幅広い観点からのチェックが必要で、個人で妥当な分析をするのは限界があります。IFAなどの専門家に相談する必要があります。

「よく言われるのは、2、3年分の生活資金と教育資金・住宅購入資金などの目的の決まった資金は運用にはまわさないで残しておくのが望ましいということ。残りが投資運用資金になります。

いくらを手元に置いておき、投資に回してよい資金はどれくらいがよいかはしばしば問題となるテーマです。
ここでは「2,3年分」とだいぶ長めの期間の生活資金を書いてますね。

これは、「短期的な投機」「タイミング投資」を行なおうとしているのか、「長期投資」を行なおうとしているのかで考え方が変わります。
また、運用先が個別株やビットコインなどで、もしかしたら半分以下、あるいはそれ以上の値動きが起こりうる運用先なのか、
FXなどレバレッジをかけた運用で、「追証」という、値動きによっては追加の資金を入れないといけなくなるものなのか、
投資信託などで十分に分散が利いていて、また、短期的には大きく下がることがあったとしても数か月、数年で回復、あるいは大きく増えるだろうというスタンスなのか、
やろうとしていることによって考え方は変わります。

長期投資前提であれば、2,3か月分の貯蓄があれば十分。
これから先の毎月の収入で積み立てていくならば、貯蓄がほとんどなくても運用してもかまいません。

保険を使って資産形成を行なう場合は初期費用が大きかったり、解約控除という短期解約のペナルティが存在しますが、NISAで行うほとんどの投資は解約によるペナルティはありません。
(投資信託によっては信託財産留保額というものはあります)
お金が必要になれば(1週間前後かかることが一般的ですが)売却して現金化すればよいので、預貯金の割合をだいぶ少なくして、投資に回すという考え方もありです。
お金が必要になったときに、大きく下がっていたとしたらそれは困るという場合は、お金が必要になることが見通せるなら早めに現金化しておいたり、リスク小さめの運用先にしておけばよいのです。

「2、3年分の生活資金」を確保したうえでの投資となると、全額が紙くずになるかもしれないことも覚悟のうえでの超ハイリスクの運用なのかなと感じます。
「2、3年分の生活資金」となると、なかなかの金額になりますし、それを貯めないと投資を始めてはダメというのは現実的にどうなのか?ですね。

教育資金・住宅購入資金については、必要となるのが5~10年以上先であれば、一般的な投資先であれば投資に充ててもかまいません。
投資に充てていた教育資金・住宅購入資金を使う機会が5年とか残り短くなってきたら、早めに預貯金に移すか、リスクを落とした運用に切り替えるという対処をすればOKです。

植田さんは、「投資信託だけで『つみたて投資枠』と『成長投資枠』の両方を使う選択もあるが、一定期間(1~2年)投資信託で運用して投資の感覚に慣れたら、株式投資を併用することをお勧めしています」と言う。

基本的に、成長投資枠も投資信託で活用すれば十分です。
また成長投資枠だからといって一括投資する必要はなく、成長投資枠を使って、積立投資を行なっても問題ありません。

興味があればやったらよいですが、無理に興味を持つ必要はありません。

個別株式の投資をすることで、
企業を分析する力が身につくとか、経済の動きを学べるとか、投資中級者、投資上級者になれるとか、
そういったことは幻です。

ある程度勉強にはなりますが、どこまで勉強しても、
経済の動きはわかりませんし(世界で一番の経済学者でもわかりません)、
企業分析のスキルというのはかなり高度な専門スキルを学ばないといけません。

企業分析、経済予測の結果、購入した銘柄が的中し値上がりしたとしたら、それはほとんどの場合、たまたまです。
たまたま当たって、身についた気になって、「俺ってすごい。こうやれば大丈夫」と勘違いしているだけです。

それをわかって謙虚になったうえで、学べることを学ぶため、ちょっとした遊び、興味のため、あるいは好きな企業を応援するため、株主優待を得るため、ということであれば個別株式の投資も行うとよいでしょう。

ただし、「長期投資を成功させる」という観点でいえば、個別株式の投資を行う行為は、マイナスにつながる可能性※も高いので、一部の資金に留めておくことをお勧めします。

※マイナスにつながる理由
値動きが気になって長期投資ではなく短期売買になりがちなため。
一般の人の企業分析では情報が不十分であり、個別株で長期的に安定した成果を出すことは難しいため。
(「一般の人」と書いていますが、ここでの意味としてはIFAや証券会社の営業マンも大差ありません)