資産形成

本日の意外な株高から考察


中東緊迫下の「不思議な株高」?日経平均の裏側と賢い投資の心得

2025年6月16日、東京株式市場では日経平均株価が一時500円を超える上げ幅を記録しました。
本日は中東情勢の地政学リスクが非常に高まったため、大きな下げとなる可能性もありました。
そんな中で見られたこの「不思議な上昇」は、多くの投資家を驚かせたはず。

一体、この「不思議な株高」の背景には何があったのでしょうか?

日経平均「不思議な上昇」を誘った複合的な要因

市場関係者の見方を総合すると、いくつかの材料が重なってこの株高がもたらされたと分析されています。

  • 円安の進行: 16日午前時点で1ドル=144円台前半と、前週末から円安・ドル高に推移したことが挙げられます。海外の短期筋が機械的に株価指数先物で買いに動き、株価を押し上げたとの声。
  • 輸出関連株の上昇: 円安の恩恵を受けやすい自動車や電気機器といった輸出関連株が目立って上昇。例えば、ホンダは3.40%高、日野自動車は4.90%高、NECも2.40%高。JPモルガン証券が目標株価を引き上げたアドバンテストは一時9.32%高と、上昇を牽引。
  • 中東情勢リスクの短期化観測: 投資家が中東の地政学リスクを短期的なものと見ていることも、楽観的な見方につながっている模様。2024年4月にイスラエルがイランを攻撃した際も、一時的な大幅下落の後に3営業日で株価が回復した例があること、今のところ米国が一歩引いた姿勢をとっていることも安心材料と言われている。
  • 原油高が買い材料に転換: 前週末には相場の重荷となっていた原油高が、一転して買い材料となった。丸紅が2.41%高となるなど、資源高が業績の追い風となる商社株も上昇。
  • 日本固有の材料としての日本銀行の動向: 日本銀行が2026年4月から国債買い入れの減額ペースを緩める検討に入ったという報道も影響。これは、四半期ごとの減額幅をこれまでの4000億円から2000億円程度に半減させる案が浮上しているもの。

短命に終わる可能性?市場の警戒感

複数の要因が重なって株価が上昇した一方で、この「意外高」は短命に終わるとの見方が市場では大勢を占めているらしい。

投資家の警戒感は、日経平均の予想変動率を示す**日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)にも現れていて、VIは25と、前週末に引き続き投資家の不安心理を示す目安とされる20を上回っている。

また、株価指数オプション市場では、将来の下落を警戒して保険的にプットオプションを購入する動きが見られる。特に、行使価格が3万6000円のプットオプションは、7月物と8月物の合計で9000枚を超えて大きく積み上がっていて、将来的な下落を警戒して保険的にプットを買っている動きと思われる。

今後の焦点としては、15日にカナダで開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)。
特に、石破首相とトランプ米大統領の首脳会談における関税交渉の前向きな進展があるかどうかが、投資家心理を左右すること思われる。

日々の変動に惑わされず、長期投資を心がけよう

このように、市場は常に様々な要因に反応し、予測が難しい動きを見せることがあります。特に短期的な市場の変動は、投資家心理に大きな影響を与えがちです。

しかし、資産形成においては、日々の株価の変動に一喜一憂することなく、長期的な視点を持つことが何よりも大切です。

基本的には、長期的に利益成長が見込まれ、株価等の価値が向上すると見込まれる資産に投資し、相場の変動に一喜一憂せず、長い目で運用することが大切と私は考えます。

今回の「不思議な株高」も、短期的な視点で見れば魅力的に映るかもしれませんが、市場のプロが警戒しているように、その持続性には疑問符がついています。このような時にこそ、目先の動きに惑わされず、自身の資産形成の目標を見据えた長期投資の重要性を改めて認識することが、賢い投資家への第一歩と言えるでしょう。


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