前回の記事では、資産運用において個別銘柄を選ぶことよりも、「アセットアロケーション(資産配分)」という全体の設計図を引くこと、そして「分散投資」がいかに重要かという本質についてお話ししました。
※前回の記事をまだ読んでいない方は、まずこちらからどうぞ!
https://hirofp.com/shisan/787/
「よし、分散投資が大事なのはよく分かった。でも、具体的にどうやって資産を分ければいいの?」
そう思われた方も多いのではないでしょうか。
一般的に資産を分ける方法としては「コア・サテライト戦略」が有名ですが、実は投資の世界には、プロも実践する強力な戦略が他にも存在します。
連載第2回となる今回は、「コア・サテライトだけじゃない!目的別・代表的な4つの投資戦略」をご紹介します。あなたの性格や目標にぴったりのアプローチがきっと見つかるはずです。
さっそく見ていきましょう!
第2章:コア・サテライトだけじゃない!目的別・代表的な「4つの投資戦略」
アセットアロケーションを組む際、最も有名なのは資産を「守り(コア:7〜8割)」と「攻め(サテライト:2〜3割)」に分けるコア・サテライト戦略ですが、投資の世界には他にも目的や好みに応じた様々な戦略が存在します。
ここでは、知っておくべき代表的な4つの戦略をご紹介します。
① バーベル戦略(極端な両極端を組み合わせる)
バーベルの両端に重りがあって真ん中が細いように、「極端に安全な資産」と「極端にハイリスクな資産」の2つだけに投資し、中間の資産を一切持たない戦略です。
- 構成例: 資産の90%を「現金や短期国債」などの超安全資産にし、残り10%を「暗号資産やベンチャー株」などの超攻撃資産にする。
- メリット: 大不況が来ても90%の資産は絶対に守られ、逆に大相場が来れば10%の資産が爆発的な利益を生むため、実は非常に理にかなった守備重視の戦略です。
② 戦術的アセットアロケーション(TAA:状況に応じて比率を変える)
あらかじめ決めた配分を頑なに守る「戦略的アセットアロケーション(SAA)」に対し、「今の市場環境に合わせて、一時的に配分を微調整する」のがこの「戦術的アセットアロケーション(TAA)」です。
- 構成例: 基本は「株50%:債券50%」だが、「今は株価がバブル気味だから、一時的に株を40%に減らして債券を60%に増やそう」と、市場の波を読んで主体的に動く。
- メリット: 相場の波をうまく捉えることができれば、ただ放置するよりも高いリターン(市場平均以上の利益)を狙うことができます。
③ リスク・パリティ戦略(リスクの大きさを均等にする)
投資する「金額の比率」ではなく、「それぞれの資産が持つ『リスク(値動きの荒さ)の影響度』が均等になるように配分する」戦略です。
- 構成例: 株は債券よりも値動きが激しいため、金額ベースでは値動きの穏やかな債券を多めに持ち、全体の「リスクのバランス」を50:50に調整する。
- メリット: 好景気、不景気、インフレ、デフレなど、どんな市場環境(嵐)が来ても、資産全体がなだらかに右肩上がりになることを目指せます。著名なヘッジファンドなども好んで使う手法です。
④ ライフサイクル戦略(年齢に合わせて自動調整する)
「投資家の年齢(ライフステージ)の変化に合わせて、資産配分を自動的に変えていく」戦略です。
- 構成例: 20代〜30代の若年期は「株式」の比率を高めてアグレッシブに運用し、50代〜60代の定年間近になったら、自動的に「債券」や「現金」の比率を増やして守りに入る。
- メリット: 自分でリバランス(配分の調整)をする手間がなく、定年直前の大暴落で老後資金を失うような悲劇を自動的に防ぐことができます。
代表的な5つの投資戦略のまとめ
| 戦略名 | 特徴 | 向いている人 |
| コア・サテライト戦略 | 資産を「守り(7〜8割)」と「攻め(2〜3割)」に分ける | 手堅く資産を守りつつ、少しだけ投資の「攻め(楽しみ)」も両立したい人 |
| バーベル戦略 | 9割は絶対安全、1割は超ギャンブル | リスクを完全にコントロールしつつ、一発逆転も狙いたい人 |
| 戦術的アセット(TAA) | 市場の波に合わせて配分を微調整する | 相場分析が好きで、市場平均以上の利益をアクティブに狙いたい人 |
| リスク・パリティ戦略 | 金額ではなく「リスクの量」で配分を決める | どんな不況や嵐でも、絶対に大きな損をしたくない人 |
| ライフサイクル戦略 | 年齢とともに自動で「安全運転」に切り替える | 手間をかけず、ほったらかしで老後に備えたい人 |
このように、自分の性格やライフステージによってさまざまな戦略があります。
しかし、実店舗を持つ金融機関や仲介業者が熱心に勧めてくるのは、決まって「コア・サテライト戦略」や「分散投資」です。
それはいったいなぜでしょうか?
第2章のまとめ
- 投資戦略には、コア・サテライト以外にも「バーベル戦略」「戦術的アセットアロケーション(TAA)」「リスク・パリティ」「ライフサイクル」など、多様なアプローチがある。
- 大切なのは、ブームに流されることなく、自分のリスク許容度やライフステージに合った戦略を選ぶこと。
次回予告
多様な投資戦略があるにもかかわらず、なぜ銀行や証券会社の窓口、IFA(独立系アドバイザー)はこぞって「コア・サテライトで分散しましょう!」と勧めてくるのでしょうか?
実は、その「熱心な提案」の裏には、彼らが口にしない裏事情が隠されています。
次回、本連載の最終回は金融機関が使う美辞麗句の裏側。コア・サテライトを熱心に勧める『本音と下心』に迫ります。