資産形成を考えていたら、NISAではなく変額保険を提案されたという話をよく聞きます。
変額保険も有用なケースがあり、私もご案内することはあります。
しかし、「NISAと変額保険はほぼ同じ」と説明される保険屋さんもいるようですが、間違っています。
保障が付いている変額保険の場合、その分、資産形成としてのパフォーマンスは必ず落ちます。
保障を必要としているならよいのですが、さほど必要としていないのなら無駄なコストでしかありません。
お金の引き出しやすさなど使い勝手も異なります。
また、「資産形成に特化した金融商品+掛け捨て保険」の組み合わせで考えることも選択肢です。
必ず、比較検討しましょう。
なお、保障がほぼ付いていない変額個人年金保険という商品ならば、「ほぼ同じ」と言えますが、やはり違いもあるため要確認です。
(むしろ良い部分もありますし、やはり保険として注意を要する部分もあります)
さらに、悪い変額保険を契約してしまわないように、とっても大事なことがあります。
保障機能が含まれた変額保険の場合、
同じ保険でも、保険期間を長くするか短めにするかで、資産形成のパフォーマンスが変わってきます。
保険期間を長くすればするほど、資産形成としてのパフォーマンスは落ちます。
同じ年平均6%で運用されたとしても、最終的な解約返戻金の増え具合が異なるのです。
悪いことに、一部の保険屋さんは、なるべく長い保険期間を設定したがります。
「満期のタイミングで相場環境が悪いとよくないので、念のため、長めに保険期間を設定しておきましょう。毎月の積立(保険料)は後で”払済保険“に変更して、ストップさせることも可能ですから」
などと誘導します。
この話の際に、保険期間を長くすると資産形成のパフォーマンスが下がってしまうことはほとんど説明されません。
なぜそんな提案をしてくるかというと、そのほうが保険屋さんが儲かるからです。
同じ保険でも設計の仕方によって、販売手数料に2倍3倍の差が生じます。
顧客側が資産形成に保障機能を持たせることを必要だと感じていて、
保険期間もそれだけ長くすることが必要だと感じているのであれば、
そして、そのぶん運用効率が弱まることも分かったうえで顧客側が判断されたなら
それもよいかもしれません
ただし、正しい情報が十分に提供されていて、顧客側が正しい考え方をできている前提です。
保険屋さん側に都合のいい結論になるような情報しか与えずに誘導するものであるなら、それは正しい情報提供ではありません。
顧客側が保障機能よりも資産形成を重視しているのに、
十分な正しい情報提供をせずに、
保障機能の良さを強くアピールして、
口のうまさで丸め込むとしたら、
それは、顧客の利益を害して、自身の利益を大きくする行為に他なりません。
一つの保険に資産形成と保障をセットにすることが本当に必要か、
適切な保険期間か、
保障をなしにした場合と保障を付けた場合、資産形成の効率はどう変わってくるのか、
しっかり確認したうえで検討されることを強くお勧めします。
最もひどいと感じるケースは、
学資積立目的で資産形成重視で検討されている顧客で、
30歳くらいの親、0歳くらいの子に対して、
20年満期でも25年満期でもなく、
70歳や80歳満期という長期の保険期間を設定して変額保険を設計する行為です。
コンプライアンス、適切な意向把握、情報提供が必要とされる時代なのに、
いまだに少なくはない確率で提案されています。
(正しく検討した結果、必要と判断されたなら、選択されてよいのですが)
引っかかってしまわないよう、十分に十分に、ご注意ください。