相続対策

【要注意】「親名義で家を買えば贈与税ゼロ」を鵜呑みにしてはいけない

先日、とあるネット動画を見ていてちょっとびっくり。
「親が子供に家や車を買ってあげる時、資金を直接あげるのではなく、親名義で買って子供に使わせれば贈与税はかからない!」
間違ってはいないけれども、注意点も何も語られていなかったので、「ちょ、ちょっと待って!」と…

確かに、税金の計算という点だけを見ればその通りかもしれません。
しかし、この考え方をそのまま採用してしまうと、将来「取り返しのつかない大失敗」を招く恐れがあります。

今回は、目先の節税にとらわれて「木を見て森を見ず」になってしまうことの危険性についてお話しします。

1. 最大の落とし穴は「将来の相続トラブル」

親名義で家を買い、そこに子供が住む。
一番のリスクは「親が亡くなった時」にやってきます。

親名義の家は、親が亡くなった瞬間に「遺産」となり、他の兄弟を含めた相続人全員の共有財産になります。 たとえあなたが長年住み続けていたとしても、法的には他の兄弟にも当然権利があります。
もし兄弟から「自分の取り分を現金で払ってほしい」「家を売って現金を分けよう」と言われたら、最悪の場合、住み慣れた家を失うことになりかねません。

目先の贈与税を回避するために、将来の兄弟間の骨肉の争いという「巨大な時限爆弾」を抱え込むことになってしまうのです。

2. 家ではなく、車ならまぁ…

車の場合も基本的に同じではあります。
また、親名義である以上、車を買い替えたい時や処分したい時に、いちいち親の同意や書類の手続きが必要になります。

しかし、車くらいであれば、大きな問題になることは少ないでしょう。
高校を卒業したタイミング、あるいは社会人になったばかりのタイミングで親が初めての車を買い与える、それまで使っていたものを譲るということはよくあることです。

もっとも、最初の車はそれでよいかもしれませんが、毎回親が車を買い与えることになるとしたら、経済的な自立を妨げてしまう側面もありまし、精神的な成長という面でもいささか疑問が生じますが。

3. 正解は「堂々と子供名義で買う」こと

それでは、親から住宅購入の援助を受ける場合はどうすればいいのでしょうか?

結論から言うと、住宅の場合は原則として、「親から資金の贈与を受けたうえで、最初から子供名義で購入する」のが最も安全な方法です。

「でも、それだと高い贈与税がかかるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実は「住宅購入のための資金」などについては、一定額まで贈与税が非課税になる特例など、国が用意した制度がちゃんとあります。

こうした制度を活用して堂々と自分の名義にしておけば、家は最初から自分のものになり、将来の遺産分割トラブルに巻き込まれることもありません。

なお、親名義の土地の上に、子どもが自らの資金で家を建てる場合も同様の問題が発生する恐れがありますので注意してください。

まとめ:節税は「目的」ではなく「手段」

税金を安くしたいという気持ちは誰にでもあります。しかし、資産形成や相続対策の本当のゴールは「家族が揉めずに幸せに暮らすこと」のはずです。

「贈与税がかからない」という目先のテクニック(木)だけを見て、将来の家族関係や権利の安定(森)を見失ってはいけません。

大きな買い物で親からの援助を検討する際は、税金だけでなく「将来誰のものになるのか」「家族で揉めないか」という全体像をしっかり見渡して、後悔のない選択をしてください。

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